11/26/2020

オンニッサンティ教会 Chiesa di Ognissanti


オンニッサンティ教会は、13世紀にロンバルディア地方からやってきた、ウミリアーティ会の修道士によって創設された教会ですが、16世紀には修道会が解散したため、メディチ家やヴェスプッチ家の保護を受けていたフランチェスコ会士たちに譲り渡されました。


1627年には堂内が全面的に改築され、1637年にはファサードが手直しされました。彩色陶板のルネッタ(2枚目)が特徴的です。後陣に接して建設されている鐘楼は13世紀の姿をとどめています。堂内は、17世紀から18世紀にかけてのバロック風な装飾で包まれていて、荘厳かつ華麗な印象を与えます(3枚目)。


右手二番目の礼拝堂(4枚目)、上段の半月形の壁面に描かれているのは、ドメニコ・ギルランダイオの 『ミゼリコルディアの聖母(慈悲の聖母)』で、ヴェスプッチ一族の者たちが中央のマリアの広げる大きなマントの下に庇護されています。(新大陸の名づけ親であるアメリゴ・ヴェスプッチは、マリアのすぐ右下にひざまずく青年だといわれています。)そして、この礼拝堂の左下の床には、ヴェスプッチ家の墓碑を刻んだパネルも見られます。


右翼廊の礼拝堂には、『春』や『ヴィーナスの誕生』などの名作で知られるサンドロ・ボッティチェッリの墓(5枚目)があります。


左翼廊にはジョットの『十字架像」』(6枚目)が、聖具室にはタッデオ・ガッディの『傑刑』を描いたフレスコ画(7枚目)などがあります。


中庭(8枚目)に面した細長い空間の食堂には、ギルランダイオの傑作のひとつである『最後の晩餐』(9枚目)を見ることができます。現実の食堂の空間をそのまま延長した巧みな遠近表現ばかりでなく、人物ひとりひとりの個性的な描写、質感までも見事に表している写実性に、フランドル派絵画の影響も受けて到達したフィレンツェの15世紀絵画の典型を見ることができます。(『最後の晩餐』は、月曜日と土曜日の9:00-13:00のみ鑑賞可能です。)


作品情報:

Madonna della Misericordia, Domenico Ghirlandaio, 1472 circa, Affresco, Chiesa di Ognissanti, Firenze

Crocifisso, Giotto di Bondone, 1315 circa, Tempera e oro su tavola, 468×375 cm, Chiesa di Ognissanti, Firenze

Crocifissione, Taddeo Gaddi, Chiesa di Ognissanti, Firenze

Cenacolo, Domenico Ghirlandaio, 1480, Affresco, 400×810 cm, Museo del Cenacolo di Ognissanti, Firenze