パネットーネ(Panettone)は、ミラノ発祥のイタリアの伝統菓子で、ナターレ(Natale イタリア語で「クリスマス(降誕祭)」の意)の4週間前から始まる待降節の期間に、親戚や友人に配るために、各家庭で焼く習慣があります。
日本でもクリスマスシーズンを中心に、見かける機会が増えました。また本場イタリアから輸入されているので、身近に感じている方も多いのではないでしょうか。
パネットーネは、ロンバルディア州のコモ湖周辺でしか取れない特殊な酵母「パネットーネ種」だけを用いて発酵させます。普通のパンと違って3、4回も発酵を繰り返すので、作るのは一日がかりです。手間はかかりますが香りや風味がよく、保存期間が長いのが特徴です。
最後の発酵の前に、レーズン、プラム、オレンジピールなどのドライフルーツをふんだんに生地に混ぜます。このドライフルーツとパネットーネ種の酵母で発酵した生地がマッチし、口当たりの良いほのかな甘みを感じることができます。
食感はやわらかいパン菓子のようですが、ほんのりラム酒の香りが広がります。ドライフルーツは日を追うごとに味が変化していくので、その変化を楽しむのもパネットーネの醍醐味のひとつです。
もちろんそのまま食べても美味しいのですが、伝統的にはザバイオーネ(マルサラワインを混ぜたカスタード)を添えていただきます。ふんわりと香るマルサラワインの香りがパネットーネにマッチします。また、少しトースターで焼いたパネットーネに生クリームやバニラアイスを添えていただくのも一般的です。
ドライフルーツが入らないものはパンドーロ(Pandoro)と呼ばれますが、こちらはヴェローナ発祥のお菓子です。
生地を3回に分け時間をかけて発酵させるため、焼き上がりはしっとりと柔らかく、日持ちします。卵とバターのふわふわ感がたまりません。
八角形の星型様の独特な形が特徴的で、卵をたっぷり使った生地は黄金色をしているため「黄金のパン」とも呼ばれています。
パンドーロを食べる前には欠かせない儀式があります。パンドーロを入れた袋に粉砂糖を入れて、袋の口を塞いだら、思い切り振り回します。まるで雪が降ったかのように、粉砂糖がまんべんなくまぶされたら完成です。
粉砂糖をまぶして食べるのが一般的ですが、その他にも、中にチョコチップが入っているもの、粉砂糖ではなくカカオをまぶすもの、ヘーゼルナッツクリームが入ったものなどもあります。