カンポ広場は、シエーナの中心部にある歴史的な広場で、中世の広場としてはヨーロッパで最大のもののひとつです。「世界で一番美しい広場」と呼ばれており、中世においても、この広場の美しさが当局や市民たちの関心の的でした。
広場を扇に見立てれば、全体は、外縁から扇の付け根に向かってゆくにつれて低くなっています。扇の骨は、敷き詰められた煉瓦の畳を9つの二等辺三角形に区切っています。煉瓦の矢筈模様の並べ方は、通常の街路とは意識的に差別化され、その舗装は3度にわたって企てられ、1349年に、ほぼ現在の形になりました。
カンポ広場は、よくある方形でも卵形でもなく、あるいは円形でも半円形でもなく、どうして台形(半六角形)なのでしょうか。その形が、シエーナの守護聖人である聖母マリアのマント——シエーナをつつみこみ、町と市民を保護する——を表現している、と建築史家エンリコ・グイドーニは解釈しています。これには過剰解釈という批判もありますが、とても興味深いです。
広場には、シンボル的な存在のマンジャの塔をはじめ、市庁舎や広場を囲むような形でレストランやカフェが建ち並び、シエナ市民の集いの場所として利用されています。シエーナに足を運んだら、せっかくですからマンジャの塔にも登ってみましょう。頂上からは、カンポ広場の美しさだけでなく、シエナ旧市街から自然にあふれた緩やかな丘が続く絶景を堪能することができるでしょう。
また広場では年に2回、7月2日と8月16日には伝統的な競馬の祭り「パリオ(Palio di Siena)」も開催されます。伝統衣装に身をまとったパレードが行われた後に、熱狂のレースが繰り広げられ、その模様がイタリアで生中継されます。このお祭りには世界中から観光客が訪れ、広場は観客で埋め尽くされるほど人気があります。