地味で控えめな建物が多いなかにあって、唯一白く輝いている華美な建物がシエーナ大聖堂(ドゥオーモ)です。大理石の横縞模様が印象的なこの建物は、シエーナ中心部のカステルヴェッキオの丘の上にあります。
大聖堂は、1220年代から建築が着工され、1264年には建物の大まかな工事を終えましたが、ファザードや内部装飾が完成したのは1370年代で、約150年もの歳月を要しました。1339年に大聖堂の拡大計画が浮上したにも関わらず、疫病や財政難などにより計画は中止されたため、現在でも、その未完成の拡張工事部分をみることができます。
ファザードはゴシック建築で全体構成はロマネスク建築という、建築としては一貫性に欠ける教会堂ですが、多色大理石とモザイクで装飾された西正面部分のファサードはイタリアで最も美しいと言われています。
大聖堂の内部は、白と黒の大理石の象嵌による横縞模様がとても印象的です。また、ゴシック、ルネサンス、バロックなど様々な芸術作品で溢れており、大聖堂そのものが宝庫であると言ってよいでしょう。現在、大聖堂のほとんどの彫刻はコピーで、オリジナルは大聖堂美術館に保管されています。