サン・ミニアート・アル・モンテ聖堂は、フィレンツェが一望できる人気の観光スポット、ミケランジェロ広場から10分ほど坂を上がったところにあります。
聖ミニアートはフィレンツェ最初の殉教聖人で、伝説によれば、アルメニア王家の血を引く人物だと言われています。彼は現在のミケランジェロ広場近くの洞窟でひっそりと暮らしていましたが、3世紀半ばに捕らえられ、円形闘技場で処刑されることになりました。
煮えたぎった油や溶けた鉛を浴びせられても火傷ひとつ負わず、猛獣の前に引き出されても危害を加えられなかったため、最後は首を切られましたが、落ちた首を拾って洞窟まで歩き、そこで息を引き取りました。その洞窟があったとされる場所にはその後礼拝堂がつくられ、11世紀には大理石の幾何学模様の美しいファサードをもつ聖堂が建てられました。それがサン・ミニアート・アル・モンテ聖堂です。
この聖堂のファサードは、サン・ジョヴァンニ洗礼堂と並んで、ロマネスク建築の傑作とされています。ファサード上部のモザイク画にはキリストの両脇に聖母マリアと聖ミニアート(向かって右)が描かれています。
ミケランジェロ広場からたった10分の距離ですが、ここに足を延ばす観光客はほんのわずかで、のんびりフィレンツェの景色を眺めるには絶好の場所です。