サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂付属の正面玄関に向き合って立っているサン・ジョヴァンニ洗礼堂は、後にミケランジェロが「天国への門」と呼んで賞賛した東側の扉が有名ですが、内部の天井を覆うビザンチン様式の見事なモザイク画も見逃せません。外からは想像できないほどのきらびやかな世界が広がり、全面金色の世界には時間という概念はなく「永遠」だけが存在します。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂が奉献されたのは1059年ですが、この当時の内部にはまだモザイク画はありませんでした。このモザイク画が描かれたのは1225年から1330年頃と推定されます。
正面祭壇の上部には「最後の審判」が描かれています。中央に鎮座するのは最後の審判を行う巨大なキリストで、彼の足元では死者が復活し、右(向かって左)の天国と左(向かって右)の地獄に振り分けられています。下から2段目、キリストの右には聖母マリア、左には洗礼者ヨハネ、そして彼らに続いて十二使徒が描かれています。
「最後の審判」のほかにも、「創世記」「聖ヨセフの物語」「聖母マリアとキリストの物語」「洗礼者ヨハネの物語」が描かれています。