サン・ヴィターレ聖堂は、547年に建設された、ラヴェンナにあるビザンティン建築・初期キリスト教建築の代表的な聖堂で、八角形の集中式建築です。
聖堂の内部は、地味な外観からは想像もできないほどの美しさで装飾されています。大円蓋から二重構造のアーケードにいたるまで、旧約聖書を題材にした金、青、赤、緑の色鮮やかなモザイクが素晴らしく、内陣のビザンティン皇帝ユスティニアヌスと皇后テオドラの神々しいモザイクはビザンチン芸術の傑作です。
モザイクとは、小石や大理石、ガラスや貝殻、貴金属、タイルなどを小さく砕き、そのかけらを床や壁のほか、工芸品や家具に付着させて模様や図柄を描く技法のことで、一粒ごとの色の濃淡や配列、埋め込む角度により、絵の立体感や光を受けて輝く神秘性を表現できます。威厳があり、神々しい空間を作り出すにはモザイクの技法が最適だったのですが、制作には高いコストと膨大な労力が必要になりました。