2/06/2021

《聖ベルナルドゥスの幻視》フラ・バルトロメオ 《Visione di San Bernardo》Fra Bartolomeo


これは、ベルナルド・デル・ビアンコにより、フィレンツェのバディア・フィオレンティーナ教会内の彼の礼拝堂用のために依頼された作品で、心酔していた修道士サヴォナローラの死後、フラ・バルトロメオが初めて描いた作品です。


契約は、フラ・バルトロメオが下絵として用意した素描を見て注文主が合意したのち、1504年11月18日に交わされました。その下絵は、画面中央に聖母子、その左側に聖ベルナルドゥスと聖フランチェスコ、右側に聖バルナバと聖べネディクトゥスがいるというものでした。


しかしこの板絵は、報酬に関して、契約書の記載内容とは一致せず、長いあいだ折り合いがつかなくて、1507年になってやっと礼拝堂に収められました。


この主題は、トスカーナ地方ではフィリッポ・リッピ、フィリッピーノ・リッピ、およびペルジーノらが描いており、よく知られていました。


フラ・バルトロメオの作品では、聖ベルナルドゥスがシトー派修道会の白い衣をまとい、恍惚としてひざまづき、両手を広げています。


彼の前には現れた幼児キリストを腕に抱いた聖母は、大勢の天使に支えられて宙に浮かんでいます。


ベルナルドゥスは讃美『女王万歳』を聞き、その歌詞を書き写しますが、この出来事は、天使の1人が開いて読んでいる書物によって暗示されているようです。


別の書物が聖べルナルドゥスの近くにありますが、これは、この聖人の知恵と世に知られた彼の雄弁さを示唆しています。


さらに別の1冊が、閉じられた状態で携帯用の小祭壇画にもたせかけてあり、小祭壇画は、まるで細密画のように、キリストの傑刑が緻密に描かれています。


聖ベルナルドゥスの背後に2人の聖人がおり、この幻視の場に立ち会っています。ひとりは初期キリスト教時代の伝道者である聖バルナバで、書物を手にしています。もうひとりは西欧における修道院制度の創始者である聖べネディクトゥスで、伝統的な黒い法衣をまとっています。


2人の聖人の後ろの岩山には、聖痕を受ける聖フランチェスコが見えます。ドメニコ会の修道士であったバルトロメオは、聖ベルナルドゥスと聖フランチェスコを共に描くことによって、当時抗争が絶えなかった三修道会の平和を祈った、と考える学者もいます。


3段からなる大理石の床が、両面中央に広がる風景と聖なる空間とを分けています。遠くに村があり、その向こうには青みがかった山々が見えます。


この絵の構図は画面左端にあるルネサンス様式の建築物と、画面右端にある樹木の生えた岩山によって締めくくられます。聖ベルナルドゥスが世俗世界から離れて精進した様子を表すために、この空間を最大限に活用しました。


作品情報:

La visione di San Bernardo, Fra Bartolomeo, 1504-1507 circa, Olio su tavola, 215×231 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 41), Firenze