11/19/2020

《ウルビーノ公夫妻の二連肖像画》ピエロ・デッラ・フランチェスカ 《Doppio ritratto dei duchi di Urbino》Piero della Francesca


フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロはビエロ・デッラ・フランチェスカに、古代ローマのコインの伝統にならって、彼と妻を記念する二連肖像画を注文しました。


この二連肖像画はまさにメダルのように構成され、表側には肖像画、裏側には寓意画が描かれています。二つのパネルは、もともとは蝶番で結ばれ、たたむと二枚の寓意画が外側になるようになっていました。二連肖像画の統一性は、光源がひとつである点や、夫妻や寓意画の背後に広がる風景が連続している点から分かります。


(2枚目)

二人の人物は顔をつきあわせています。左はバッティスタ・スフォルツァで、長い間待ち望んでいた跡継ぎグイドバルドを生んで、1472年に世を去ります。右はフェデリーコで、彼は傭兵隊長(condottiere コンドッティエーレ)としての活躍によって、その地位と財産を築き、1474年には教皇シクストゥス4世から公爵位を授けられました。


フェデリーコの肌が日焼けして皺があり、ほくろや傷があるのに対し、バッティスタは色白で蒼ざめ、傷ひとつありません。彼の荒々しく粗野な外貌がその男らしい美徳を誇示しているのに対し、バッティスタの清く曇りなき顔色は女性らしさの理想を具現化しています。


(3枚目)

バッティスタは、当時の貴族の女性に共通するように非常に青白い肌で描かれています。おでこの部分が広いのも、当時の流行でした。彼女の髪は印象的に固定された宝石によってきちんと整えられ、頭頂部分は繊細に描かれた透明なヴェールでおおわれ、白い細布で整えられ、その上には別の宝飾品が載っています。彼女の衣服は濃色の胴着に豪華な金の錦織の袖という一見簡素なものですが、袖はたいてい取り外し可能で、さまざまな胴着とさまざまな袖を組み合わせて、簡単に服装を変えることができました。


(4枚目)

ローマのコインの伝統にならっていれば、フェデリーコの横顔は右向きに描かれるはずですが、それとは異なり、彼は左向きです。それは、1450年の馬上槍試合の事故で、右目を失っていたからです。そのため、画家はフェデリーコの左向きの横顔を描きました。


(5枚目)

パネルの裏側には凱旋図、つまり描かれた人物の徳性を示唆する寓意画が描かれています。公爵夫妻は二つの凱旋車に座しています。


(6枚目)

フェデリーコは鏡をつけた指導者に扮して、兜を立てかけ、しゃくを手にしています。後ろに立つ名声は彼に冠を授け、前には四つの枢要徳 Virtù cardinali、すなわち正義 Giustizia、賢明 Prudenza、剛毅 Fortezza、節制 Temperanzaが並んでいます。


(7枚目)

バッティスタは本を手に、純潔をあらわす二頭の一角獣が引く凱旋車にのっています。彼女のそばには謙遜と三つの対神徳 Virtù teologali の第一として希望 Speranza がおり、残る信仰 Fede と慈愛 Carità は前に座っています。


そして、慈愛はペリカンをかかえていますが、伝説ではこの動物は自らを犠牲にし、肉を切り裂いて子どもを養うといわれています。出産で世を去ったバッティスタの犠牲を暗示していることは明らかで、この凱旋図がバッティスタの死後描かれたことを示しています。


背景は、透明な光と明澄な色彩によって表現された遠近法による空間が描かれています。そこには、おそらくウルビーノの宮廷で画家が見たフランドル絵画の影響が認められます。


作品情報:

Doppio ritratto dei duchi di Urbino, Piero della Francesca, 1473-1475 circa, Olio su tavola, 47×66 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 8), Firenze